東京高等裁判所 昭和27年(う)732号 判決
本件起訴状中公訴事実の冒頭に犯罪の動機に関する記載の存することは所論の通りであるが、本件のような住宅放火罪の公訴事実においては、犯罪の構成要件に該当する事実のみならず犯罪の動機につき相当程度の記載を為すことにより、之を一層具体的に、且明確ならしめる場合のあり得ることは洵に明らかであつて、本件起訴状中前記動機に関する記載も亦、其の住宅放火罪の具体的事実を明確にし特定するに役立つ程度のものであり、裁判所に予断を抱かしめる虞ある不当のものとは認めるに足りないから、右起訴状の記載が刑事訴訟法第二百五十六条第六項の趣意に反する違法のものなりとは解し難い。
従つて右の違法なることを前提とし公訴提起手続の無効なることを主張する所論は其の前提に於て既に失当であつて到底之を採用し得ない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)